フライバックトランス設計支援ヘルプ
全波整流、直流入力、ワンコンバータのいずれかを選択する。初期状態では全波整流が選択されている。
- 全波整流
- 低力率(コンデンサインプット)の回路の場合に選択。
- 直流入力
- 前段に別途直流電源が接続される場合に選択。
- ワンコンバータ
- 力率改善兼用の回路の場合に選択
!計算出力の「基本回路」図は、選択した回路方式に従って表示が変わる。
- 変換効率η
- 予想される変換効率を入力する。1(=100%)以下を入力の事。1を越えて入力された場合、0.85(85%)に修正されるので注意。
- 入力力率φ
- 予想される入力力率を入力する。1(=100%)以下を入力の事。回路方式にワンコンバータを選択したときのみ有効。1を越えて入力された場合は0.95に、0.5を下回って入力された場合は0.5に修正されるので注意。
- 入力電圧(最小値)
- 入力電圧の最小値を入力する。全波整流・ワンコンバータを選択している時は交流電圧値を(100Vacなら100)、直流入力を選択している時は直流電圧値を(200Vdcなら200)を入力する。
- 入力電圧(最大値)
- 入力電圧の最大値を入力する。入力値に関しては(最小値)と同じ。
!なお、入力電圧(最小値)・(最大値)を逆に入力しても自動的に修正される。最大・最小のいずれか片方のみしか入力されていない場合は、その値のみで計算するので注意。
入力電圧(最小値)・(最大値)ともに入力されず計算された場合、それぞれ85V,242Vとなるので注意。
- 出力電圧(最大)※1
- 出力したい電圧の最大値を入力する。
- 出力電圧(最小)※1
- 出力したい電圧の最小値を入力する。
- 出力電流
- 出力したい電流値を入力する。mA単位なので注意。
- 整流ダイオードの降下電圧を考慮する(チェックボックス)
- チェックすると、出力電圧に整流ダイオードの順方向降下電圧(Vf)を加算して設計する。※2
- 出力電圧(最小)(最大)を逆に入力しても自動的に修正される。最大・最小のいずれか片方のみしか入力されていない場合は、その値のみで計算される。補助巻線を算出する場合は、出力電圧(最小)が関係するので、必ず入力する事(出力電圧が最低の時にも、必要な補助巻線電圧を得るため)。
- Vfの値は、出力電圧(最大)が50V以下は0.6V、150V以下は1.2V、それ以上は1.6Vと自動で割り振られる。自動で入力されるVf値以外を入力したい場合は、出力電圧(最大)(最小)にVfを加算した値を入力してもよい。
例:Vf=2V,出力電圧(最大)=50V => 欄に入力する値=52V
制御電源等の補助出力電圧を入力する。
- 出力電圧1
- 出力したい電圧値を入力する
- 出力電圧2
- 出力したい電圧値を入力する
!この巻線で消費される電力は、1次側インダクタンス算出に反映されない。主出力に対して無視出来ない大きさの電力の場合は、出力パラメータの出力電流を大きくし、入力電力を調整すること。
!補助出力は、主出力が出力電圧(最小)の時に、指定された電圧が出力されるよう算出する。そのため、出力電圧(最大)の時は補助出力の電圧も上昇するので、接続される回路の電圧定格に気を付けること。
- スイッチング周波数
- 最小のスイッチング周波数を指定する。
- 部分共振スイッチングを考慮する(チェックボックス)
- 部分共振スイッチング動作を行う場合にチェックする。※1
- 部分共振時間
- 部分共振時間を入力する。上記のチェックボックスをチェックしていない場合は、数値を入力しても計算には反映されない。※2
- ※1 これをチェックすると、スイッチング周期から部分共振に使われる時間を減じた上で、一次側インダクタンスを算出する。(部分共振に使われる時間は電力伝達出来ないため、一次側インダクタンスを決める際はこれを考慮する必要がある)
- ※2 入力された部分共振時間が周期全体の10%を超えた場合、自動的に周期全体の10%に訂正される
- 磁束変化
- 許容するコアの磁束変化を指定する。
- コア選択(プルダウンメニュー)
- コアのメーカー・形状を指定する。メーカーを変更した際は、必ず再度計算させること。
- 巻線電流密度
- 巻線の電流密度を指定する。巻線の線径算出に使われるだけで、最も重要な一次側インダクタンスの算出には影響しない。
- リッツ線を考慮する(チェックボックス)
- チェックすると、リッツ線仕様で巻線断面積を算出する。
- [計算]ボタン
- 計算を実行する。なお、上の機能で入力された値が自動的に訂正されても、特にその旨は表示されないので注意。
- [パラメータクリア]ボタン
- チェックボックス、プルダウンメニューを含む、入力されたパラメータを全てをクリアし、初期状態に戻る。
選択された回路方式に従って基本回路を表示する。また、回路図上に入力・算出された数値を表示する。
フライバックトランス一次側の各計算結果を表示する。
- インダクタンスLp
- 一次側インダクタンスLpを表示する。表示単位[uH/mH/H]は計算結果によって自動的に変更されるので注意。
- 巻数Np
- 一次側巻数Npを表示する。(1ターン以下は切り上げ)
- ピーク電流i1p
- 一次側を流れるピーク電流i1pを表示する。
- 実効電流i1rms
- 一次側を流れる実効電流i1rmsを表示する。算出は単純にピーク電流i1pの√1/6である。
- 巻線線径
- 実効電流i1rmsと、指定された電流密度から求めた線径を表示する。
- 直流抵抗
- 一次側巻線の直流抵抗を表示する。なお、銅の抵抗率は2.23x10^-5Ωmm(@100℃)とした。巻線の延長は指定されたコアに対応するボビンの平均巻線長xターン数であり、また、導線の断面積は上で算出された線径を用いている。表示単位[mΩ/Ω]は計算結果によって自動的に変更されるので注意。
- 巻線面積
- 一次側巻線の占有する断面積を表示する。
Ns調整
フライバックトランス二次側の巻き数を調整する。断続/臨界動作は、次のonサイクルが来る前に、二次側にエネルギーを伝達し終わる必要がある。若しくは、伝達し終わってから次のonサイクルに移る(この場合は周波数変動)。
- Ns入力枠
- 二次側巻数を直接入力する。小数点以下が含まれた場合は、小数点以下は切り捨てられる。数値入力+リターンキーでToffが即時再計算される。(以前は[Nsを変更]を押す必要があったが、現在は必須ではない)
- [↑]ボタン
- Ns入力枠に表示されている巻数を1つ増やす。Toffが即時再計算される。
- [↓]ボタン
- Ns入力枠に表示されている巻数を1つ減らす。Toffが即時再計算される。
- インダクタンスLs
- 二次側インダクタンスLsを表示する。コア・ギャップ長・巻数によって決まる副次的な値であり、フライバックトランス試作にあたっては指定しなくても良い。
- 巻数Ns
- 二次側巻数Nsを表示する。(1ターン以下は切り上げ)※1
- ピーク電流i2p
- 二次側を流れるピーク電流i2pを表示する。
- 実効電流i2rms
- 二次側を流れる実効電流i2rmsを表示する。
- 巻線線径
- 実効電流i2rmsと、指定された電流密度から求めた線径を表示する。
- 直流抵抗
- 二次側巻線の直流抵抗を表示する。諸条件は一次側の直流抵抗と同じである。
- 巻線面積
- 二次側巻線の占有する断面積を表示する。ただし、補助巻線は含まない。
- 補助出力巻数Ns2
- 補助出力の巻数を表示する。(1ターン以下は切り上げ)
- 補助出力巻数Ns3
- 補助出力の巻数を表示する。(1ターン以下は切り上げ)
- ※1 二次側巻数は一次側との結合を優先するか、変換効率を優先するかによって導出される数が異なる。
結合優先では一次側巻数との電圧比で算出される。
変換効率優先では、指定した負荷条件時に一次側−二次側の導通時間が50/50%となるよう、インダクタンス比から算出される。
二次側巻数Nsは、この両者で算出した巻数を”〜”の範囲で表示しているので、この範囲の巻数でいくつか試作してみることをお勧めする。
- コア形状
- 選択されたコア形状を表示する。
- 対応ボビン
- 選択されたコアに対応するボビン※1を表示する。
- 平均巻線長
- 上で表示されたボビンの平均巻線長を表示する。
- コアAe
- 選択されたコアのAe値を表示する。
- Al-value
- 指定された磁束密度と他諸条件から算出したAl-valueを表示する。
- NI-limit
- コアメーカーの示す近似式から算出した、コア温度100℃に於けるNI-Limitを表示する。
コア形状の後ろに括弧書きでコア材の指定が有るものは、それぞれのコア材毎の近似式で算出。コア指定の無いものはPC47材のみ。一部コア(EC,EIC等)はデータシートに近似式の記載が無いので算出しない。
- NI20%current
- コアメーカーの示す近似式から算出した、コア温度100℃に於いてAL値が20%低下する電流を表示する。コア材についてはNI-Limit同様。
1次側ピーク電流を下回るような時は磁気飽和が懸念されるので、磁束変化ΔBを下げて再計算してみると良い。
- ギャップ長
- 指定されたコアのAeと必要な一次側インダクタンスから算出した、コアギャップ長を表示する。
- ※1 データベース構造の都合で、対応ボビンが複数ある場合でも代表的な1点のみ。他のボビンを使用したい場合、巻線がボビンに収まるかどうかは別途計算して確認すること。
- 銅損
- 一次側巻線・二次側巻線を合計した銅損を表示する。一次側・二次側ともに巻線の直流抵抗と実効電流値から求めた値。
- 反射電圧Vr
- 二次側が出力電圧(最大)時の、一次側反射電圧を表示する。反射電圧とは、二次側の巻線に電流が流れている区間に、一次側巻線に誘起される電圧の事。
- Sw素子電圧(最大)
- スイッチング素子に印加される最大の電圧を表示する。入力電圧の最大値(ピーク)に反射電圧Vrを加算した値※1。スイッチングに使う素子は、少なくとも、この電圧には耐えられなければならない。
- ダイオード逆電圧Vdr
- 二次側整流ダイオードに印加される逆電圧※2を表示する。
- ※1 例えば一次側のピーク電圧が100Vで、二次側の最大電圧が50V。これで一次-二次の巻き数比が2:1だった場合、逆電圧は50Vx2/1=100V。Sw素子電圧(最大)は、100V+(50Vx2/1)=200Vとなる。従って、入力電圧が高いほど、出力電圧も高いほど、Sw素子に印加される電圧は大きくなることに注意。
- ※2 Sw素子電圧(最大)とは逆に、一次側に電流が流れている区間に、二次側に誘起される電圧。出力電圧(最大)に一次側のピーク電圧と一次-二次間の巻き数比で計算される。二次側(負荷)の最大電圧が60Vだとしても、ダイオードに掛かる逆電圧は、それを大きく超える値であることに注意。
更新履歴
- 2021/03/30
- Ns調整でインダクタンスLsがmHを超える時に桁が1桁間違っていたのを修正
- 2017/02/10
- NI-LimitとAL値20%ダウン電流を算出するよう機能追加
(PC47材の近似式を利用しているので、それ以外のコア材利用の場合は別に計算すること)
- 2016/07/09
- JFEフェライト、日本セラミックのコアデータに追加
JFEフェライトの一部のコアでボビン型名を引けるよう変更
- 2016/06/21
- コア選択のプルダウンメニューをメーカー毎に切り替えられるように変更
- 2016/06/15
- ワンコンバータ、断続・臨界モード選択時に、最大OnDuty値が一次側ピーク電流算出に反映されていなかった(50%固定だった)のを修正
同様に二次側インダクタンス算出を修正
二次側ピーク電流算出を修正
- 2016/06/14
- [コア材質選択]から戻る時にパラメータが抜け落ちるのを修正(メイン側の拡張に対応していなかった)
Ton+Toff表示に部分共振時間を加算するように変更
メモ用のテキストエリアを新設
- 2016/06/13
- Ns調整時にTon+Toffを計算・表示されるようにした
Nsに小数点を含む数値を入力出来ていたのを、整数部のみ入力されるよう変更
Nsにゼロを手動入力された時の注意表示を追加
Ns調整にアップダウンのボタンを新設 即Toffの再計算が実行される仕様
Nsの手動入力後、リターンキー入力でonChangeハンドリングして、即Toff計算が実行されるよう変更
データベースからコア巻枠が抽出出来ていなかった不備を解消
- 2016/05/25
- 初回ロード時に初期値宣言されていなくて内部Errorになっていた変数に初期値を設定
Ns調整のインダクタンスLs表示の単位をmH,uH,nHで切り替わるように拡張
- 2013/02/04
- Ns調整の部分で「断続/連続モード選択時は〜」になっていたのを「断続/臨界〜」に訂正
- 2012/11/13
- 動作モード(断続/臨界 or 連続)選択機能を追加
計算出力の1次・2次側インダクタの桁数を増加(2次側は単位自動変更も追加)
- 2012/07/07
- 最大Onデューティ比を指定出来るよう変更
部分共振に割く時間を指定出来るよう変更
2次側巻き数Nsの調整確認機能を追加
- 2011/06/17
- 入力枠にcssを適用,パラメータクリアの方法をJavaScriptに変更
- 2011/06/02
- 印刷時、回路図からパラメータがずれる問題を修正
一次側インダクタンスLpの単位表示を自動変更化
全波整流時に、入力力率φが計算に含まれていたのを修正(無効化)
問題点・追加機能など
- 電流密度指定に上下限を設ける事(2016/06/21)
- 1,2次ピーク電流の計算処理を見直す事(2016/06/14)
データベースから持ってくる巻枠断面積にAl-Valueがくっついてくるのを修正すること 修正済み (2016/06/13)
NS調整のform出力でインダクタンスの単位が自動的に変わるようにすること 変更済み(2016/05/25)
- 結合(巻数比)を優先して計算出来る機能の追加
- 素の線径からUEW
とTEX-Eの仕上がり外径が引けるようにする(優先順位↑)
- 補助巻線の結合を選択出来るようにする(forward結合)
- 計算結果をメールで送信出来るようにする
- Al-value,Npの調整ページを作る
2021年03月30日版
cg275277@fc4.so-net.ne.jp